耐震指標の落し穴

マンションの耐震評価の基準にIS値というのがあります。
 

耐震診断の結果そのIS値が0.6以上であれば、

「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性か低い」

と判断されお墨付きが得られますが。

 

しかし、それ以下だと倒壊、崩壊の危険性ありとの評価が下されて、

IS値0.6以上の基準を満たす耐震設計に基づいた工事を行うことになります。……

しかし、そのIS値が0.6以下と判断された場合でも、

0.2の場合と0.5の場合ではかなり状況が変わってきます。

 

たとえば、あとわずかで0.6に届かなかった0.4や0.5といった値が出た場合は、

スリットを入れたり柱に炭素繊維を巻きつけたりといった、

軽微でお金もかからない工法で対応できることがあります。

一方、0.2前後の場合には危険性がかなり高いため徹底した改修工事が必要となりますし、

それに要する金額も、相当のものになることを覚悟せねばなりません。

 

高まる地震の脅威に備え、現在各自治体では、耐震改修に対する補助制度が拡充されていますが、

これはあくまで0.6以上の基準を満たす工事をすることが前提となっています。

そのため、0.2評価のマンションが0.6を満たすための大規模な改修工事を行おうとすると、

たとえ補助をもらったとしても全額をまかなうことは到底かなわず、

結局改修工事はあきらめて、不安を抱えたまま暮らし続けねばならないうえに、

既存不適格マンションとして資産価値の低下にもつながるという、

厳しいジレンマに陥る実例が少なからずあります。

 

たとえばこのような場合、基準を下げて0.4や0.5を満たす工事でも、

自治体の方で補助を出すといった対応はできないものでしょうか?

 

もちろん0.6という値は建築や構造の専門家によってはじき出された厳密な数字ではありますが、

評価0.2のマンションが予算に無理のない範囲で0.4を達成することができ、

それによって、少しでも地震の危険性が軽減できるのであれば、検討されてもいい課題だと思います。

まずはできる範囲での改修工事を行い、

段階を踏んで0.6という目標達成に近づけていくことができれば、

住民の方々の不安も、かなり軽減されるのではないでしょうか?

 

じつは、ある自治体ではそのような基準値以下の改修に対しても補助を出していたところがあるようです。

しかし、結局0.6に満たないものは、改修実績として自治体の記録に残せないため、

それも、立ち消えになってしまったと聞きます。

 

数字合わせでない、住民の立場に立った柔軟な対応をのぞみたいところです。 

 

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